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2006年 第22回 サンシャイントライアル参戦記by matt

■「参戦報告というまえがき」
サンシャイントライアルというイベントの存在を渡辺さんに教わった時からずっと気にはなっていたものの、東京発では開催場所が遠いので参戦するイメージがありませんでした。
僕に「行く」と言わせた大きな要因に、大会事務局がプレゼントしてくれた昨年の模様を収めたDVDがあったことは間違いありません。
ただ、それは決め手ではなかったのだと今にして思います。

僕が本当に走りたいと感じたのはこんな一文を目にしたその瞬間だったのでしょう。

「走らせてもらってありがとう」

このイベントのキャッチフレーズです。この一文に、惚れました。
地元の人々、自然、協力してくれる企業やお店、ボランティアのスタッフへの感謝の気持ちをストレートに表現したその姿勢に、しかも大会公式webサイトのトップにこのメッセージが入っているという率直さに惚れ惚れしてしまったのです。

DVDで見る限り、サンシャインはあくまで壮大な草イベントであって、順位を競い合うというよりは和気藹々とした中でお互いの持てる力や技術を発揮して、失敗したらみんなで笑って助け合うというような、エントラントとかライダーとか言う以前に、人としての触れ合いがそこにある、人が真に遊ぶ姿そこにある、そんなイベントでした。

実際にその場に立ち、走る自分が何を感じ、何を楽しんで来るのか。
これまで競技となると目が三角になって前だけを向き、成績のためならルールの中で何でもする、という形でしかモータースポーツに向き合ってこなかった僕の精神に、エンデューロレースに数回出たことで何か大きなシフトが起きています。

エンデューロは、あくまでスピードを競うものです。
それはたとえ楽しさ最優先のY2Crossであっても変わりません。

しかし、トライアルは順位こそあれど絶対通過タイムを競うスピードレースとは根本からして異なります。
あくまで速さを競うものでしかなかった僕のモータースポーツに、新しいページが加わる、そんな可能性があるのかもしれません。

「走らせてもらってありがとう」

走り終わった後に心からこの言葉が言えるよう、心から、思いっきり走って、転んで、笑って来ます。

聞いてないよ…

想像を遥かに上回るイベントに、最初から最後まで驚き通しで、戻ってから2日経つ現在も心が落ち着かないまま、自分の中にある「何か」を置賜の山中に置き忘れて来たような感覚があります。
忘れ物を見つける準備のために与えられた時間は、たったの1年。
また来年、このイベントを走らせてもらい、「何か」を見つけて来ます。
そのためにも今、感じたことを表現しておきたい。表現して、形にしておきたい。

それでは、サンシャイントライアル参戦記、スタートです。

「聞いてないよ」

セクションをクリアすれば、あとは気楽な移動タイム、心と身体を休めて次のセクションに挑むのだろう。
そんなイメージをもってこのイベントに臨んだところ、実は大間違いということをスタート直後のセクション1を終え、セクション2へ移動し始めた時点で思い知らされました。

シングルトラック(轍一本分しか道がない)の藪を突っ切り、丸太を越え、岩にバイクのお腹を擦り、ぬるぬるのキャンバー(傾斜路)を突っ切る。これは、難所アタックツーリングと何ら変わらないではありませんか。

進むにつれてハードさが増してゆき、ジェット型ヘルメットでは道を覆う枝が露出した顔に直撃するので、到底走れたものじゃありません。
これまで3連覇を続けている達人・岸井さんがジェットヘルメットにフェイスガード(顔をガードする、ジェイソンマスクの下半分みたいなの)を着用している理由がよくわかりました。

ちなみに一緒にこのジェットヘルメットを購入して「ふたりウケ狙いしようぜ」と言っていた渡辺さんはあっさり裏切って(?)シールド付きのフルフェイスヘルメットで参戦。
その甲斐あってか枝なぞものともせずに走破してゆきます。(SHOEI HORNETのスペシャルペイント。かっこいいのです)

この時点でワタクシ、泣きが入ってました。
いきなり泥水の中にコケてスロットルが重くなり、渡辺さんが現地で本職パワーを発揮して応急処置をしてくれて安全に走れるレベルにまで戻ったものの、慣れない感覚に戸惑い、それが心のパワーをへし折るという感覚に繋がってしまいました。

そう、トラブルでも泣かないメンタル、どんな状況であれ楽しむ心の強さが要求される、そんなイベントなのです。

サーキットで自分よりペースの速い前走車に喰らいついてゆく時の緊張感を維持する心のタフネスと、実は全く変わらないと言っても過言ではないでしょう。
それを、前走者や後続車との駆け引きの中に見出すのではなく、自分が自分であるためだけに使われる、真に内的な心のチカラに求めるところが唯一違うところでしょうが、その本質は変わりません。
日本語は面白いもので、こうした時に相応しい熟語があるんです。

「克己心」

読めばあたりまえに思える言葉ですが、その真の意味を心と身体で体験し続けることは、現代社会では難しいのかもしれません。
恥ずかしながら、モータースポーツで勝負をするという感覚から少しばかり遠ざかっていた自分にとって、新しい発見と錯覚してしまうくらいに新鮮な感覚でした。

スタートし、セクション1から2までの移動区間で自分自身に対し、自己存在をあらためて確認せざるを得ないような状況に直面しつつも、やはり山の中を仲間と助け合いながら走る行為は、純粋に気持ちの良いものです。

スタート地点で急遽同じパーティとなった関さんの人柄にも助けられ、渡辺さん、僕という3人組はセクション2へ至る頃にはお互いが誰だかわからないものの、信頼し、助け合うひとつのチームへと成長していました。

セクションで下見をし、渡辺さんとSさんがハイレベルな意見を交換し、僕はふたりからアドバイスを貰い、そして走る。
ふたつめのセクションにして、このパーティはいつの間にかチームというひとつのセルとして動き始めていました。

トライアルを現役で知る関さんの眼、ライディングを幅広く捉える渡辺さんの見解、トライアルもオフ走行も初心者なので「定番」というものを持たないため、自由なんだかめちゃくちゃなんだかわからない発想を脊髄反射で口にする僕。

僕の意見がどれだけ役に立ったかは甚だ疑問ではあるけれど、このチームは楽しく、オトナで、そして素晴らしく機能していたと、今にして思います。

移動区間でいきなりの難所に出くわした僕の「聞いてないよ…」という、心をネガティブへと引きずり込んでしまうスパイラルから救ってくれたのは、このチームの力でした。

そして、このチームはとてつもない結果をもたらすことになるのですが、それは後ほど、あらためて。

ありがとう

そもそも「走らせてもらって ありがとう」というフレーズに心を動かされ、参戦を決めたサンシャイントライアル。

現地で何を感じ、どう心が動いたのかを備忘録的にしたためる参戦記、その2です。

「なんで緊張してんだろ」

話が前後しますが、僕らが現地に到着したのは車検開始時刻とほぼ同じ、午前6時のこと。
そう、夜通し走り続けてようやく時間に間に合ったため、僕も渡辺さんも睡眠時間は車中で取った1時間くらい。
往復の運転を申し出てくれて、同行してくださったペペロンスズキさんの献身的な協力があって初めて僕らはこのイベントに参加することが叶いました。
ペペロンさん、ありがとう。

現地に到着してまず驚いたのが、その場にいる人々の表情が明るいこと。
2輪、4輪、舗装、ダートを問わずレース会場の朝というのはこれから来る緊張の時間を前に、礼節あるゆるやかな時間が流れ、時としてライバルも味方も何もない、立場をわきまえつつもそれ以前に人として素に近い姿でリラックスできる、独特で貴重な時間です。
ペペロンさんも「レース場でのこの時間がいいんだよね」と、何はなくともリラックス。
僕も、この時間が大好きです。

そして、この朝に経験した時間は、これまでに無い感覚があったように思います。
スピードを、タイムを競うレースに挑む際はこの時間で一度弛緩してから、緩やかに緊張感を高め、スタート前にはぴんと張りつめた空気を自分に持たせるよう努力してきましたし、レーシングスピードで走る際はたとえレースでなくともこのような緊張感が自動的に沸き上がります。

ただ、この日ばかりは勝手が違いました。
なぜならば、周囲の人々にそうした張りつめた緊張感というものがまるで無いのです。
いつまで経っても笑顔なんです、それも心からの笑顔。
遊びを前にわくわくする子供のような笑顔を、人生の大先輩とおぼしき世代の方々がためらいなく見せてくれている。

これは何かが違うぞ、と感じてはいるものの、自動的に沸き上がってくる緊張感を止めるのはなかなか難しいものです。

「mattさん、これはレースじゃないんだから、仕事じゃないんだから。遊びに来たんでしょ?」

レース参戦経験も、サポート経験も豊富なペペロンさんが僕の緊張を看て取り、声をかけてくれたものの、自分でももはやどうしてよいかわからない小さな混乱は止まりません。

「おはようございます」
気分を変えて、受付や車検といった手続きをしに行くことにしました。
このイベントの凄いところは、受付、車検、開会式といったスケジュールがエントリーの段階でほぼ確定し、公開されていることです。
しかも今、何が行われているのか絶妙な頻度で放送が入り、参加している人々や主催者の現場スタッフの双方が困らないよう、ミスが起きないよう気を遣う、その場に居る誰にとっても優しく、親切な運営がなされています。

初めて訪れた者にとっても、何をどんな順番で行っているのかすぐに判り、運営のオペレーションがシンプルなので誰に質問しても明確な答えを貰える。
イベント運営の理想型が、いわゆる草イベントの中に見えるとは夢にも思いませんでした。
いや、むしろ僕が知る公式戦(全日本戦も含む)のルールや手続きが複雑怪奇になりすぎ、イベント当日の動き方ですら経験者が居ないとまるでわからない、お役所手続きのような状態になっていることが異常であり、サンシャインの運営が本来の姿、いわば「あたりまえ」の事なのかもしれません。

受付、車検、それぞれ実にスムーズで、何のトラブルも疑問もなく僕はゼッケン656のエントラントとして認められ、SL230HANDACHIはゼッケン656号車として車両保管に入りました。
手続きの間、なんど「おはようございます」「ありがとう」を耳にし、そして自ら口にしただろう。どれだけの笑顔に触れただろう。
「がんばってくださいね」「楽しんできてください」という笑顔の応援をどれだけ貰っただろう。

20年間の長きにわたりこのイベントを運営し、育ててきた主催者の皆さんが持つ志(spirit)が、スタッフ全員に浸透していることが本当によくわかります。
モータースポーツイベントで、スタート前にこれだけ楽しい気持ちにさせてもらったことは、未だかつてありません。

僕が内に抱えていた緊張感は、スタッフの皆さんがプレゼントしてくれた笑顔と応援で、どこかへ飛んで行ってしまったようです。

もしかすると、僕はこのイベントに参加することで、モータースポーツを純粋に楽しむことを知ったのかもしれません。
僕にとってのモータースポーツとは、レーシングスピードで走るという行為は、何らかの形での勝負であり、勝負であるからにはルールの中で何をしてでも勝つことが優先されていました。
遊びのレーシングカート耐久レースに行っても、アマチュアドライバーが達があくまで遊びとして参加している中で、ひとり眼が三角になり、速さのために、勝つためだけに最大限の努力をしてしまう、そんな自分を自覚していながら止められない、そんな年月を過ごしてきていたのも事実です。

でも、それはもしかしたら、過去のものになってしまうかもしれません。

そう、笑顔です。 「ありがとう」という気持ちです。
「走らせてもらって ありがとう」
その気持ちに惚れて、感動して僕はこの場に来ている。
暖かく迎え入れて、楽しんでもらおうと、自分たちも笑顔で努力している人たちがいる。

その笑顔に、僕の頑な心が、融かされました。
その言葉に、僕の感覚が、解かれました。

スタート台に登壇する頃には、僕の内にある緊張感は勝つためのテンションから、未知の冒険へと繰り出す前の心きらめく不安と期待へと姿を変え、同じ緊張でも身体を柔らかくし、心をすぽっと開かせてくれるしなやかなものになっていたように思います。

「走らせてもらって ありがとう」
もう一度心の中で呟いて、スタート台を後にしました。
真剣に遊ぶ、思いっきり、遊ぶ。
もしかすると、生まれて初めての経験だったのかもしれません。
素晴らしいイベント、素晴らしいスタッフ、そして参加者のみなさんのおかげで、僕は初めてモータースポーツを「楽しむ」というフィールドに立つことができました。

ありがとう。
そんな想いでスタートしたサンシャイントライアル、ところがセクション1でいきなり心の底からの悔しさにまみれることになるとは。

惜しい!

出発前からして内的なドラマに遭遇し続け、実は到着した時点で心は良くも悪くもへとへとだったサンシャイントライアル参戦記、その3です。

「惜しい! うそっ」
スキー場施設の正面駐車場に設けられたステージがスタート&ゴールの晴れ舞台となる、エントラントの心をくすぐるにくい演出を見せてくれるこのイベント、セクション1はこのスタート台からよく見える、まさにすぐそこ、正面ゲレンデの中腹に設けられていました。

ここは昨年の様子を収めたサンシャイントライアルのDVDでも冒頭に登場することから、これまでもセクション1として使われている恒例のポイントのようです。

下見をし、荷物をゴール地点にぽいっと置き、身軽になってスタートに挑みます。

この時点で僕は競技よりも、自分の内的な変化に驚き、戸惑っており、走ることへの集中力がいささか欠けていたことは否めません。
かつては何があっても目前の状況にだけしか焦点が合わなかった自分からすると、まったくもってあり得ません。

でも、集中できなかった。
そのくせ、楽しかった、わくわくしていた。

心ここにあらずな状態で走り始めてしまったセクション1は足着きが減点となるトライアルセクションです。
ここで、下見で作ったイメージ通りに走らせていたにも関わらず、ふとした瞬間にぽっと足を着いてしまいました。
バランスをわずかに崩しただけで、対応も対処もできたはずなのに、無意識に足が出てしまいました。

なんということだ。
確実にクリーン(足を着かないでセクションをクリアすること)を取れると判断したセクションでのミス。
この瞬間、また勝負に生きている自分が顔を出し、猛烈な悔しさに襲われましたが、しかし笑顔で居る自分が居ることも自覚できました。

そうか、この感覚か。
失敗して、悔しくても自分を追いつめない。追い込むことで集中を高めることをしない。
ただそれだけのことか。

悔しがっている僕に、ペペロンさんが声をかけてくれました。
「遊びなんだから、大丈夫、大丈夫」
そうなんですよね、遊びなんですよね。

自分自身を追い込みかけた瞬間のペペロンさんの言葉に目が覚めた思いです。
遊びだからこそ、思いっきり悔しがることにしました。
悔しい思いを堪能することにしました。

それでも楽しいと思えるのだから、それもいいでしょう。
もっとも、こう思い直した直後にvol.1で記したように、もう一度心が折れる瞬間がやっては来るのですが…。

再び、別の意味で心ここにあらずだったセクション2は沢登りのタイムトライアルです。
道路から川に降りるところからして短い急坂、降りきったところに丸太、それを越えると今度は大人が一抱えもあるような岩がふたつ、苔むした岩はつるんつるん。
タイムトライアルと言うからには全開でタイムアタックをする…というイメージが湧きそうですが、実はトライアルセクションよりも激しい地形の場所を、足着きを気にせずスムーズにクリアすることが求められる、ある意味では何でもアリの障害物競走的な楽しみがあるとも言えます。

ここは多少の苦労はしたものの、自分が持った「ここは厳しいぞ」というような印象よりも遙かに楽に進むことが出来ました。

もしかすると、僕がこうしたセクションに抱く印象と、走った感覚のズレは装着しているタイヤにあるのかも、と考え始めたのもこのセクションをクリアしてからでした。

もちろんタイムは遅いですよ、それでも自分の中で充分な満足感を得られる走りが出来たので、多少遅くてもOK。
遅い自分を赦していることは、今にして考えると驚愕の変化ですが、その時はそんなことを考えてはいません。「イケたぜ、よっしゃ」という感覚だけ。

そもそも、僕のオフロード走行はSL230とブリヂストン製のED660/661というタイヤの経験だけしかなく、練習もすべてこの組み合わせで行ってきました。
それゆえに身体の基準がこのタイヤによって作られているのでしょう、こうした岩場では「滑る」という先入観がたっぷりあったのです。
もちろんED660/661が悪いという話ではありません。
想定している走り方や走る場所が、トライアルタイヤとエンデューロタイヤでは根本的に異なるだけのことです。

そしてトライアルタイヤでの現実は、アクセルを慎重に開け、戻してゆけば面白いようにタイヤは岩をやんわりと包み、抱きしめるように体重を乗せ、そしてそっと手放して去ってゆく。
優しさすら感じるグリップ感のまま、特に大きなドラマもなくバイクと僕を前へ、上へと進めてくれる。

セクション2を終え、僕の中に新たなテーマが浮かび上がりました。
自己の持つ感覚~いや、先入観と表現した方が良いでしょう~と実際のグリップ、走行フィーリングの差を、どのように捉えたら良いのか。
結論から言えば、最後までこのギャップは埋められることはありませんでした。
なぜならばトライアルという競技は行き当たりばったりではなく、オフロードライディング、特にこうした難所を走るようなトレッキングではイメージと実践というサイクルを繰り返しながら走りを組み立ててゆくため、イメージのズレを多少なりとも修正できたものの、そこに逡巡と迷いがあるためにイメージがブレてゆき、自分の満足のゆく修正は叶いませんでした。

vol.1でも述べたように、移動区間が実に激しいため、ここでバイクと、タイヤとじっくり対話をしながら走る…ヒマなぞあるわけもなく、自分の持つ技術の限界近くを要求されるような道と、道ですらない場所でタイヤとの対話を模索していました。

いや、正直なところ模索すら出来なかったかもしれません。
ただ、前へ進むことに対して一生懸命というところから出られず(要するに必死)、なんだかわからないけれどタイヤの感覚が自動的に身体にたたき込まれて行ったような気がします。

このへんの、道具にまつわる話はまた後ほどにするとして、セクションと移動区間をクリアしてゆく毎に、自分自身と、バイクや走りに対する姿勢の変化は目を見張るものがありました。

思いっきり悔しがり、笑い、真剣に走り、そしてまた笑う。同じチームの渡辺さん、関さんと助け合いながら、いたわりながらも競い合う、そしてお互いを認め、共に進んでゆく。

これがツーリングトライアルというスタイルの醍醐味なのでしょうか。

楽しさが少しずつ見えてきて、悔しさもおもしろさも全身から自然と沸き上がるようになってきたところで、お腹が空いてきました。

そう、お昼タイムが近づいて来てはいるのですが、まだセクションが幾つか残っています。

昼食前にして電池切れが近い。
やばい。
やばすぎる。

どうヤバイことになったのかは、また後で。

乗せられる自分

なにやら私小説の様相を呈してきたので、ここはひとつ趣向を変えてハードウェアを紹介することにしましょう。
今回、僕を野山に連れて行ってくれて、安全に走り、還ってくることが出来たのは、この相棒であったからこそ、でした。

それではサントレ参戦記vol.4、スタートです。
「乗せられて、走ってもらって」
僕はオフロード走行の初心者です。
そもそも初オフロード体験は昨年の9月のことで、それ以降、あちこちで練習して、2回ほどエンデューロレースに参加した程度のキャリアしかありません。

そんな男が厳しいシングルトラックがそこそこあるサンシャインを時間内に走破できたのは、バイクの持つ高い性能によるところが大きいと思われます。

「SL230HANDACHI」
ストラーダのコンプリートマシン、XR230「WADACHI」のフロントフォークだけを移植した僕のSLは、半分だけWADACHI、だから「HANDACHI」です。

ちなみのこの命名は僕じゃなくて渡辺さんですからね、念のため強調しておきますよ。

キャブレターのセッティングによるエンジン特性の調整、ささやかな軽量化、フロントの車高アップを施された僕のバイク、ホンダ・SL230はノーマルの良さだけを伸ばし、育てた素晴らしいバランスを見せるバイクです。
そう、舗装路で試しに走らせているだけでもその良さがひしひしと伝わって来るほどに。

トライアルタイヤを履いてどんなフィーリングになるのか、実はサンシャイントライアルがぶっつけ本番でした。
前半はセクションも移動区間も無我夢中なところがありバイクとの対話、タイヤのとの対話は身体の感覚に任せっきりだったように思います。
理性的な意識として、いわゆる左脳的な部分での理詰めでの試行錯誤なんて、とてもとても無理、ただバイクから振り落とされないように、道から落っこちないようにするだけで精一杯でした。

ただ、面白いものでこうした無我夢中の時間でも人間はそれなりに何かをキャッチし、自分の中で消化を進めてゆくもののようで、どこからか自分のバイクとタイヤを信じ、バイクに任せて走ってもらう、連れて行ってもらうという乗り方に変わっていきました。

無理に自分で何とかせず、目前の地形に対してバイクが行きたいように、走りたいように、バイクの求める動きを阻害しないことを心がけていれば、午前中には「え?こんなところを走るの?」と感じていたであろう難所も怖くなく、スムーズに通過してくれるのです。

そこに自分の意識野が作り上げた「読み」とか「イメージ」といものが入ってくると自分とバイクとのシンクロにずれが生じるのか、実にわかりやすくあたふたとしてしまいます。
身体の感覚に任せると、意外とすんなり通過できる。

4輪で一生懸命に走っている頃、周りに居る人によく言われていたセリフを今になって思い出します。
「お前は決して速くはないけれど、クルマの言っていることを掴むのは抜群に上手い」
「でもな、クルマの言うことがわかるばっかりに、クルマに無理とか無茶をさせない。上手いかもしれないけれど、速いドライバーじゃないと思う」

納得もし、反発もしましたが、実に的を射った意見に生意気盛りだった僕が何も言えませんでした。

何年経ってもドライバー/ライダーとしての本質は変わらないのですね、乗り物と対話することを楽しむ。速さや数字といった結果よりも、対話を優先するがために結果を残すことができない運転手、それが、僕です。

速さのためには何でもすると言っておきながら、クルマの嫌がる運転を避けるがためにコンマ数秒を失い、どうしてもはい上がることが出来ない。
目前にあり、拾いあげるだけで手に入るコンマ数秒に手が出ない。

そんな自分をその時にどう捉えていたかは、今は問題ではありません。

ただ、置賜のシングルトラックのつづら折りを登ってゆく際に、自分がどんな運転手であるかを噛み締めていました。

バイクが教えてくれること、タイヤが教えてくれること、エンジンが伝えたいメッセージを受け取って、応えてあげる。
ただそれだけのことで、僕の眼には難所にしか思えない狭く、滑りやすい路面の急な登り坂、しかもタイトに曲がりくねっている移動区間が、楽しく駆け抜けることができる心躍るステージへと変貌してしまうのです。

全身で、心で感じ、感じたままに身体を動かすことさえ出来れば、大丈夫。
そう、ただ感じていれば、それでいい。

こうなると僕の愛機、SL230HANDACHIは優しい乗り味と、路面に優しいトライアルタイヤ、穏やかで力強いエンジン特性のおかげで路面をほとんど傷めずに難所をするりとクリアしてゆきます。

正直なところ、僕のSLと、渡辺さんのXR230-WADACHIはサンシャイントライアルというイベントにおいてはトップクラスのポテンシャルを持っているのではないでしょうか。
僕のエントリーしたトレッキングクラスにはエンデューロレーサーやトライアル車譲りのサスペンションを持つエンデューロレーサーも参加しています。そうしたマシンの素晴らしい性能に追いすがることの出来る、純市販車オフロードバイク、それが僕らの2台だったと思います。

自分のバイクの持つ底力、バイクやタイヤの放つメッセージ、
これらを知り、体感し、身体に刻みつけることが出来ただけでも、僕はこのイベントに参加して本当によかったと思っています。

しなやかで、優しく自然の中を、自然と共に生きられるバイク。
そんなバイクでエントリーできたことを、誇りに思います。幸せに思います。
ここまでバイクを仕上げてくれた渡辺さん、タイヤや走り方について考え方を教えてくれたペペロンさん、ここは見ていないであろう、オイルとタイヤを激安でサポートしてくれた某所の社長、おかげでさまで、こんな素晴らしい体験をすることができました。

みなさん、ありがとう。
さて、vol.3で空腹に襲われたヤローの顛末は、この次に。

ヤバイ…

さて、午前のセクション残すところあとふたつくらいのところで電池切れの様相を見せ始めたヤローの顛末です。

「ヤバイ、ヤバイぞ」
シングルトラックの藪にも慣れ始め、セクションを5~6コほどクリアしたところで判断力の低下を自覚しました。
判断が、遅れる。
水分を補給しようにも、スポーツドリンクのペットボトルは既に空、酸素loadedな水はスロットルホルダーをバラした際に使い切ってしまった。
ウィダーのエネルギー・インも既に摂ってしまった。

午前の前半で心身ともに消耗が激しかったことが、このへんからもよくわかります。

里を走って、自動販売機を見つけたら甘いコーヒーとスポーツドリンクご購入だな…などと考えながら眺めの良い舗装林道を走っていたら、ブラインドコーナーの先にバイクが何台も止まっているではありませんか。 (注釈:ここでは自動販売機は存在しません、本当です by スト辺)
バイクを止めると同時に、ボランティアスタッフの中学生?高校生?が僕ら人数分のスポーツドリンク「アミノバイタル」のペットボトルを持って駆け寄ってくれます。

「飲み物はいかがですか?」
ありがとう!
喜んで頂戴し、ヘルメットを脱いだところへさらに声が。

「こんにゃくもありますよ!食べて行ってください!」

サプライズです。
こんな山の中まで機材を持ち込んでのサービス。
スタッフの気持ちの良い笑顔と声、やさしくも美味しい玉こんにゃく、そしてこうした競技には必須アイテムのスポーツドリンク。
完璧ですよ、参加者を泣かせるにはもう完璧なお膳立てですよ。

「行ってらっしゃい!」
ごちそうさまでした、ありがとう。
なんて気持ちの良いイベントだろう。

残りの数セクションはさくっと片づけて、お昼ご飯は予告されていたお蕎麦です。

あ、ごめん。

写真のことなぞすっかり忘れて食べ尽くしてしまいました。

気を取り直して。

鶏南蛮です。
香り高いお蕎麦に、出汁も具も何もかもが素材の香りに溢れるつけ汁。
旨かった…できればもう1杯食べたかった。

ごちそうさまでした。

そして、ランチコントロールサービスを出発する際も、スタッフの方々からの声は「行ってらっしゃい!」です。
暖かい声で、僕らの顔をちゃんと見て、笑顔で伝えてくれるその言葉が、僕らにはとても心強く、ありがたい。

こうしたイベントへエントリーし、走ることを「参加する」と表現するのはごく普通のことでしょう。
モータースポーツイベントに参加してきた中で、「参加する」という言葉を真に体験したのはきっと今回が初めてです。ただ来て、走り、成績を残して帰る。
確かにこれも参加の一形態だと思いますし、非難するつもりはありません。
それもアリなんです。

ただ、サンシャイントライアルに関しては少しばかり様相が違うように思います。
エントラントも、イベントを「作り、創る」ことに参加しているのだということが、なぜだか自然と伝わってくるのです。

「走らせてもらって ありがとう」

このフレーズは僕らエントラントが主催者に向けた言葉ではありません。
主催者も、エントラントも関係なく、このイベントに関わる人々すべてが、地元の人々、自然、協力してくれる商店や企業、スポンサーに感謝する言葉だと思うのです。
そうなるとエントラントもスポンサーも主催者も関係なく、渾然一体となってこのイベントを創ってゆくのだという意識が必然的に生まれてくるのでしょうか。

このイベントが20年かけて培ってきた意識の高さは、初参加のエントラントにも充分に伝わって来ましたその志を、しっかりと受け取ることができた、と思います。

ただ、走っている間はそんな堅苦しいことは「考えて」いませんでした。

いいね、素敵だね、と暖かい気持ちになって、自然を感じながら、人の気持ちを感じながら、シングルトラックの藪でヒーコラ言っていました。

「こんなところコースにするなー」
と叫びつつも、その場に居る全員が笑っています。

これがサンシャイントライアルの真髄なのでしょうか。
これがツーリングトライアルなのでしょうか。

オフ初心者ライダーには、刺激が多すぎます。
でも、この刺激は、好きですよ。

来てよかった。
来られて良かった。

サンシャイン参戦記、もう少し続きます。

自分の限界

この章を書くにあたり、vol.1~vol.5までを読み返したところ、自分で撮影したお蕎麦の画像に思いっきりそそられております。

あの蕎麦は旨かった。 というわけで、もう一度画像を掲載してしまいましょう。
さて、vol.6です。

「限界?」

美味しいお蕎麦と絶品のお漬け物、おにぎりという昼食を摂り、挑んだ午後の部は身体が負けていました。
ぼーっとしてしまい、集中力が無いのです。

モータースポーツに於いて、この自動運転の状態は上手に使うと体力の節約になりますが、走ることそのものがリスキーなダート/オフ走行では絶対に避けなければならないコンディションです。

その状態に、僕は陥っていました。
陥っている自覚をはっきりと持っていたので、スポーツドリンク(無糖)、チョコレート、ウィダーインゼリー、ネイチャーメイドのマルチビタミン錠剤等々を摂取して対策に努めましたが、午後のセクションを3つほど無駄に過ごしてしまったように思います。

その点、僕より年長者である関さん、渡辺さんは上手に体力をコントロールされていたようで、意識朦朧とする僕を叱咤激励しつつ、積極的に下見を行い、アグレッシブに走り、好成績を収めていったのです。そう、午後での巻き返し、これが手練れならではの展開です。

こうなってくると関さん、渡辺さんの走りは輝きを増し、午前中ではふたりともどこか硬かった身体がしなやかに動き出し、関さんはアグレッシブにバイクを動かすスピード感溢れる走りを見せるものの、その右手は、スロットルワークは流れるようにスムースという技術の高さを見せつけてくれます。
渡辺さんはバイクの挙動も、操作も最小限で最大効率を求める味わい深い走りをさらっと披露してくれます。

まるでタイプは違うけれど、トレールバイクを自由自在に扱うための異なるアプローチを目の当たりにするという希有な機会に恵まれました。
それも午後いっぱい、アドバイスを貰いながら、見せて貰いながら、笑いながら…至福の時間です。

ただ、意識朦朧とはしていましたが(笑)

我々のハイライトはセクション14に訪れました。
拳ふたつ分くらいの大きさの石がごろごろと転がる河原でのタイムトライアル、DVDの撮影を努めていたコース設定責任者のとれっくと~ちゃんこと高橋さん(トレックフィールドというショップの経営者でもあります)が見ている目前で、渡辺さんがレコードタイムの20秒を叩き出しました。


そして、タイムを聞いた関さんは拍手で大喜びしつつも、自分も行くぞと気合いが入るのが見ていてはっきりとわかりました。

関さん、アタックに入ると見事なまでにアグレッシブな走りを見せます…が、丁寧なアクセルワークはリアタイヤをしっかりと岩に押しつけ、車体を前へと進めます。

結果は、渡辺さんと同タイム、20秒。
このタイムは優勝したキシイ・ランプキン御大を1秒上回る、正真正銘のレコードタイムです。

同じパーティからトップを取る人が現れるとは、しかも二人も!

ベテランが調子を上げてきたところで、僕は目標タイムをおふたりの2倍、40秒に設定してトライ。

ささやかに39秒、目標達成です。

これまでなら「遅いっ」と自分自身に怒り狂うところでしょうが、今日はもうまるで気になりません。
目標を達成した僕を拍手で迎えてくれたオフィシャルさんと、チームのふたりに、僕も笑顔で応えます。

ありがとう!

これだよ。
これがチームだよ。

イベントも終盤になって、ツーリングトライアルの楽しさというものの奥深さ、幅広さをようやく実感してきました。
もう、何も理屈をこねる必要はないのでしょう。 楽しいんです。
気持ちいいんです。

なにか、大きく吹っ切れたこのセクションから先は実に気持ちよく走り、セクションをクリーンで通過することが出来たんです。

ただ、最後の最後で、また自分のとある部分が顔を出してしまうのですが…。

あと少し

ツーリングトライアルという形態の競技を、そもそも存在すら知らなかったためペースは掴めない、技術は追いついていないで疲労困憊の午後。

セクションを重ねるに連れて「あと少しで帰れる」そして「もう終わってしまうのか」という相反する感情が心の中を交錯していました。

「あと少しだ」
サンシャイントライアル参戦記、vol.7です。

疲労困憊で判断力を失い欠けていた僕を奮い立たせてくれたのが、セクション14で渡辺さん、関さんが見せたトップタイム奪取の応酬劇の迫力と歓喜、そして僕自身の自己目標達成という充足感でした。

全16セクション中、15セクション目は最後のトライアルセクションになります。
急坂を下り、底にコンクリの排水溝が走るV字谷を越え、ちょっとタイトなキャンバーターンを切って再びV字谷、加速区間ほぼゼロのまま丸太越えでゴールというレイアウトです。

難易度は低い部類に入るでしょう。
しかし、僕はこのセクションにサンシャインの醍醐味がぎゅっと凝縮されていると感じました。 下見をした渡辺さんも、言葉こそ違えど同じことを感じていたようです。

「トライアルの基本がめいっぱい詰まってるね、いいセクションだよ」

このセクションをクリーン(足を着かずに減点ゼロで通過すること)で通過することで、コースを設定した人の想いに応えることができるのではないか、と。
派手なテクニックより基本、基礎をしっかりしていれば、サンシャインは楽しく遊べるイベントですよ、というメッセージが、このセクションに託されているように感じたのです。

V字谷の排水溝は、アクセルをぽんっと軽く開けてクリア。
キャンバーターンは、タイヤを斜面にきちんと平らに押し当ててあげれば大丈夫、よし、行けた。

そして次のV字谷、丸太越えへのアプローチは、ターン中にラインを整え、谷底手前からリアタイヤをきっちりと路面に吸い付けて加速すれば、あとはバイクが処理してくれる…はずだった。

なんと、ターン中にラインを再確認している間にエンストを喫してしまいます。
幸い、スタンディングでバランスが取れていたので瞬時に判断し、スタンディングした状態のままセルでエンジンの再始動に成功しました。

「今の、セーフ?」
「セーフ!セーフ!」

横に居たオフィシャルさんが大丈夫だ、行け!と言わんばかりの勢いで応えてくれます。

ラインを見切り、V字谷、アクセルぽんっと開けてフロントの荷重を逃がし、そして丸太へ向けて加速。

リアタイヤはきちんと路面と仲良くしている。
よし、まだ行ける、もう少し強く路面を抱きしめてもらおう。
坂を上りながら、「膝かっくん」をするかのように瞬間的に膝をぐっと前へ出してフロントフォークを沈める。
力が抜け、ワンテンポ遅れてフロントフォークが戻ってくるタイミングにあわせて、アクセルをふわっと開くと、0.4kgという低圧で仕事をしているリアタイヤが潰れ、路面をもう少しだけ強く抱きしめ、少しだけ強く突き放し、前へと進む力を作り出してくれる。

フロントタイヤはわずかに上方向の力を得た。
リアタイヤは前方向への力を得た。
ライダーは、ステップから少しだけ体重を抜き、バイク全体で宙へと舞い上がるイメージですっと伸び上がる。

SL230HANDACHIは、自らの最低地上高よりも高さのある丸太にフロントタイヤが伸び上がり、リアタイヤが丸太にフレンチキスをし、フロント、リアと順番に地面を離れます。

軽々と、組み合わされた丸太に飛び上がるSL。

リアタイヤが丸太を越える瞬間に、少し強めの仕事をさせていたリアタイヤから、力を抜いてあげます。
そして、SLは地上を舐めるように走り始めるのです。

「クリーン!」

渡辺さん、関さん、コース設定をした高橋さん、そして渡辺さん同様に師と仰ぐ清水工業所の清水さん、皆さんの想いに、僕は応えられたのでしょうか。
これで、僕は応えることができたのでしょうか。

「よし、次行くぞ!」
「はい!」

よくやったね、凄いぞ。
SLのタンクを掌で軽く叩いてから、最終セクションに向かいます。

最終セクションは、ゲレンデの急坂を上るタイムトライアル。
僕は、登り切ることが出来ませんでした。


激しく転倒し、ゴーグルが外れ、邪魔になったので投げ捨て…。

なぜ、最後の最後になって冷静さを欠いたのだろう。
それが、悔やまれます。

直前のセクションまではSLとタイヤの路面のメッセージを受け取ることができていたのに、なぜここでは全く掴めなくなったのだろう。

今は、その原因はわかっています。
ただ、冷静さを欠いたこと、これが、悔しい。
自分を見失ったこと、これが情けない。

スタートしてから、ここまで培ってきたすべてを、もう少しで台無しにするところでした。

危うかった。
最終セクションはクリアできず、ペナルティタイム・90秒を戴いて、僕のサンシャイントレッキングのセクションはすべて終了となりました。

メンタルに始まり、メンタルに終わった競技区間は、自分の人としての器や能力、人間性というものを見つめ直すに充分すぎるほどの経験を与えてくれました。

これがツーリングトライアルという遊びなのですか。
こんな遊びを、20年間も続けているのですか、提供し続けているのですか。

エントリーする前からサンシャイントライアルというイベントが、有形無形に何かを感じさせるものである、その源泉をゴール直前の転倒で思い知った気がします。

また、来年もこのイベントにエントリーしたいと思います。
今から一年間、果たして自分は人として成長することが出来るのでしょうか。
たとえ僕が成長しようとしなかろうと、サンシャイントライアルはきっと来年も開催されるでしょう。僕を含め、エントラント一個人の思惑など関係なく、イベントは執り行われるでしょう。

僕は、それでもエントリーしたい。
自分自身を確認するために、一年間の成長をサンシャインというステージで報告するために、走りたい。
いや、走ります。

僕が置賜の山中で置き忘れてきたもの、と冒頭に書きました。

それは、たぶん、違う。

置き忘れてきた場所は、これまでの人生の中のどこか、です。
忘れてきたことすら、忘れていた。

思い出せてくれたのが、置賜の山中でした。
サンシャイントライアル・トレッキングクラスでした。
その場に連れて行ってくれたのは、SL230HANDACHIでした。

様々な人の想いの乗ったコース、バイク、イベント。

何かひとつ欠けても、僕はこの場に居ることはできなかったでしょう。

関わってくれた皆さん、ありがとう。
一年後、この場に僕はまた戻ります。

きちんと忘れ物を拾ってきたかどうか、それを確認するために。


「走らせてもらって ありがとう」

ありがとう

気が付いてみれば、我ながらずいぶん書いたものです。

気長にここまで読んでくださった方に感謝です。
適当につまみ読みしているそこのアナタにも感謝ですよ。

「ありがとう」

サンシャイントライアルというイベントは、当たり前のことを当たり前に運営する、たったそれだけのイベントです。
でも、当たり前という一言の中にどれほどの意味合いがあるのか、自らイベントを企画、開催、運営した経験のある者ならば万感の想いを込めて頷いて貰えると信じています。

サンシャインは、当たり前を貫いているのです、きっと20年の間、ずっと。

そんなイベントに参加できる機会を得た、その幸運に感謝です。

サンシャイントライアル事務局宛に、競技中に撮った一葉の画像を添えて、感謝のメールをお送りしました。

今、その画像はサンシャイントライアル公式ページのトップになっています。

トップに貼っていますよ、というメッセージを公式ページの掲示板に見つけた時は、我が眼を疑いました。

トップページを実際に見て、感動しました。
正直なところ、職場で涙しましたよ
しばらくの間、仕事にならなかったんです。

その翌日、渡辺さんに指摘されて初めて気が付きました。
サンシャイン公式webサイト「開催後のあいさつ」の文中に、僕の送ったメールが転載されている…。

感激。(http://www2.jan.ne.jp/~sunshine/)

ありがとう、の気持ちを伝えたら、その何倍にもなって想いが返って来てしまいました。
またも、涙です。
二日続けて仕事になんかなりゃしません。

せっかく日常生活に還って平静を取り戻したのに、画像と、引用で心は再び置賜へと飛んでしまいました。
未だ、どこかで飛んで行ってしまったまま、抜け殻となった僕の肉体がこの文章をしたためています。

置賜に飛んだついでに、vol.1で記した「とてつもない結果」を報告しましょう。
同じpartyで丸一日ご一緒させて戴いた#649 関さんは、なんと5位という素晴らしい成績で一日を終えました。
ご一緒させていただいて、光栄です。
一緒に走ってくれて、ありがとう。

また、来年もこのpartyで走れることを願って、この参戦記を締めることにしましょう。


「走らせてもらって ありがとう」

2006 サンシャイントライアル
Result
トレッキングクラス
57台エントリー 54台出走中40台完走

#649
関さん with Serow Real Equip ver.
5位 200point

#655
渡辺さん with XR230 WADACHI
22位 396point

#656
matt with SL230 HANDACHI
25位 481point


special thanks to;
motoshop strada
Shimizu Special Product Company
great rider Mr.Seki
hypertec.jp
Mr.Peperon SUZUKI
Dirt Spelunkers
All the staff from SUNSHINE TRIAL
and
Ikutan
SUNSHINE TRIAL official web site