SMOOTH RIDE

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Feb 2006「クロカンライディングのルーツ!」

◆感じなければ駄目だ
僕が大学生の頃の話で恐縮だが当時良く行っていた長野県のとあるスキー場には毎年スイスにあるグリンデルワルトスキー場のインストラクターが派遣で来ており、その彼の事をフト思い出した。
そのスキー場へは毎年春スキーで訪れており雪は重くべたついている時期、普通の人はなかなか滑りにくい。
その重くべたついた雪の超緩斜面をそのスイス人のインストラクターはいとも簡単にパラレルでスイスイと滑る、まるでスキー板の上にイカかタコなどの軟体動物が乗っている如くとにかく非常に柔らかくスムーズである。何故そんな風に滑れるのか色々訊ねてみた所・・・

「僕の地元スイスでは氷河を長距離(20キロ以上)滑り続けるので雪質に合わせつつリラックスした滑り方が出来ないと体力が持たないんだ、その為にはスキーが滑走出来るギリギリ位の緩斜面でゆっくり丁寧に滑る練習をするといい、でも一番大事なのは楽しみながらやることだよ、わかるかいタケシ?」

ふーむ、危険の少ない練習でそれが出来るようになるとスピードを出した状態や急斜面でも今まで以上に体力を使わないでスムーズに滑れるようになるそうだ。
でも当時の僕は「やっぱターンもスピードだぜ!」と何から何までスピードと力任せで、パラレルを緩斜面でゆっくりスムーズに滑るなどと言う思考回路は存在しなかった。
彼が言うにはスキーの滑走面で雪質と微妙な凹凸や斜面を感じとることで、初めてゆっくり滑る事ができるのだという。

「タケシ、スピードが出ても同じ事なんだよ。感じなければ駄目だ、雪をね」

◆ 「スローライドの必要性」
さらに純粋なスキーヤーだと思っていた彼が意外なことを口走った。
「夏はね、モーターサイクルでオフロードを走っているんだ」

昔から言われている事だけどモーターサイクルライディングとスキーは共通点が多く、使う筋肉は異なるがバランス感覚はほとんど変わらないと言う事。

「僕は太極拳もトレーニングメニューに取り入れているんだ、同じ様にモーターサイクルでもゆっくり走るといい、ハンドルがストックだ。感じるものが雪なのか土なのか違うのはそれだけだよ」

この頃は彼の言っている事が理解出来なかった、しかし数年後にその言葉を理解する機会はやって来た。
社会人になってから数年後、ホンダからトライアルマシンTLR200が発売された。
当時はトライアルブームと言う事もあり迷うこと無く僕はすぐに手に入れた。
早速河原のちょっとした所で乗ってみたがそれはとてもトライアルライディングと言うには程遠く「止まれない!曲がれない!何も出来ない!」な状態で傍目には素人が小さいバイクに振り回されてコケまくっているだけに見えた事だろう。
もちろん自分のヘタレ加減に今まで沢山の林道を走って来た自信は粉々に打ち砕かれた。

それからの僕はスピードより「路面状況を感じつつ考えて乗る」事に重点を置くようになった。

セクション練習で同じ場所を3回チャレンジしても上手く行かない時は休憩をかねてそのセクションを再度下見する。
ライディングで熱くなった体と頭を一旦クールダウンして何がだめだったのか分析し次の方法とライディングイメージを組み立てる。
組み立てたイメージを元に再度トライ、うまく行った時の気分は格別だがうまくいったときこそ何故うまく行ったのか確認する。
すごく基本的な事だけれども上達にはとても大事な事だ。
とても時間がかかったけれど、スイス人インストラクターの言っていた言葉が少しだけ理解出来たかもしれない。
今でもまだまだだけどね・・

最近皆さんが楽しんでいるトライアル用のセクションマーカーを使ったクロカン練習は僕や清水名人の経験値集大成のミニミニ版なのでゲーム感覚で今後も是非続けて欲しい。
大事な事は数名で楽しむ事、もし怪我などをした時も安心だし精神的にも楽である。
何より一人でやっていると性格が暗くなるので気を付けた方がいい。

先日、皆さんのクロカンライディングをじっくり拝見させて頂いて思った事なのだけど参加して頂いた全員、他の方には無い良い所が必ずあると言う事。
それはテクニックであったりバイクに対する姿勢だったりと様々。
一人でやっているとなかなか気が付かないけれども早く自分の良い部分に気が付いて今後ももっと楽しんで欲しいと思う今日この頃です。