SMOOTH RIDE

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HRC トライアルワークスマシン試乗会 2007年11月 白井トライアルパーク

◆業務指令!フジガス号に試乗せよ!
「フジガス号に試乗せよ!」
こんな素晴らしいお仕事を二輪車新聞社より頂いた、なんとありがたい事でしょう。
2007年トライアル世界選手権で藤波選手が乗っていたマシンそのものに乗れる機会なんてそうあるものではない。
これはライダーとして初のお仕事だ、自分にとっても励みになる。

当日は藤波選手とトライアル全日本チャンピオン小川選手も参加、我々の前でデモランをしてくれるのだがさすがは世界レベルの二人、開いた口が全くふさがらない。
それでは世界中で誰も味わった事の無い、フジガス号の素晴らしい走行フィーリングを僕の拙い文章で出来る限り伝えて行こうと思う。
今回はワークスマシンに乗せて頂く前に、あらじめ市販のRTL260Fに乗せて頂いたのでその差が良くわかった事も先に記しておく。

◆サスペンション

「とにかく乗ってみぃ!ロールスロイスに乗っているような素晴らしい乗り心地だぞ」
先に試乗を終えた自然山通信のニシマキ氏がニコニコしながら僕にその感想を伝えてくれた。
で、早速試乗「お!おおおおおおおおおお!なんだこれは!」
確かにニシマキ氏が言っている通りに素晴らしい、これは今までの人生の中で味わった事の無いサスペンションフィーリング。

乗った事はないけどロールスロイスってこんな感じなんだ、ふむふむ。
端的に申し上げるのならしなやかでよく動いて感度が良く、とにかく乗り心地はソフトで抜群。
普通に流して乗っているだけで手や足に届く路面の凸凹が大変心地良い。
下りなどではその性能は絶大でフロントタイヤのよじれた感じと接地感が本当によく手に伝わる。
バイクトライアルのマシンなどで下る時もフロントタイヤのしなりやねじれ感が伝わらないとグリップを失いやすい、かなりバイクトライアル的な感性を持ったフロントサスペンションだ、と思う。
さらに車体全体で相当軽量化されているのもありノーマルのRTL260Fに比べるとフロントアップのしやすさは抜群。
世界選手権の現場で絶対に必要なテクニックであるダニエルをこなす為にはこの位のフィーリングが必要なのだろう。
今回の試乗は15分間と言う限られた時間の中だったがとにかくこの素晴らしいサスペンションが一番印象に残っている。
ちなみに2005年の市販モデルのRTL250Fのサスも良かったけど2008年モデルはもっと良かった。
ワークスマシンはさらに良かった!人間の要求は限りないね。

◆エンジン
ワークスマシン試乗前にHRCスタッフからマシンの取り扱い説明を受ける。
スロットルハウジングの横にLED付きのプッシュスイッチが装備されている。
このプッシュスイッチを押すことでエンジンの特性が変化する、ノーマル・ドライ(ハイレスポンス)・ウェットの3種類。
藤波選手の話だとセクションの途中に大きなステアなどがあった場合、スタンディングで体勢を整えつつスイッチを押して特性を変化させてからトライするそうだ。
なんとも科学的なマシン、すごい時代になったものだと感心することしきり。
排気量もどうやらノーマルではないらしいがそれは手段の話、結果として世界選手権の現場で疲れにくく扱いやすくてどんなマシンより高次元のグリップを出せれば良いのだから。
ただしフジガスの様に開けられるライダーには非常に頼もしいエンジンだ。
それとエンジンのトラクションがすごい!
エンジンのトラクションと言うのは2スト4スト隔てなく、エンジンの爆発が土に大して食いつきの良い性質を持っているかどうかだがこいつはすごい、過去に経験の無いエンジントラクションだ。
ステアの手前でスロットルをちょいと開ければマシンが勝手に登って行く、とにかく乗っている人間がバイクの動きを邪魔しない様に心がける。
その為にはとにかく体の力を抜いて息を吐いてやわらか~く乗るよう心がけていた。
これは憶測だけど、HRCの皆さんはたぶん我々ヘタクソ向けにきっとセッティングを変更して乗りやすくしてくれているのではないだろうか、違うかな。
そうそう、このエンジンをCRF250のフレームに乗せてギャロップランドを走ったら絶対に楽しいと思っているんですが如何でしょうねTakeさん(笑)

さらに特筆すべきはクラッチ、藤波選手のお話だと本調子でないらしいがぼくにはさっぱりわからない。
普通にギヤを入れてクラッチを繋ぐ時もスパッと切れてしなやかに繋がる、しかも軽くてコントロールも容易。
繋がっている、繋がってないがとても良くはっきりとわかる。
セクションによってはバシッ!と繋がると都合の良い場合もあるからそのうちクラッチもエンジン同様、セクションによって特性を変化をさせられる時代が来るかもしれない。

◆フレーム
2008モデルのワークスマシンなのでブラック塗装されたアルミフレームである、ストレートにかっこいい。
僕が過去に乗ったアルミフレームのトライアル車はとにかく硬いと言う印象のみが残っていて、手首に疲れが残ったりとあまり良い印象が無かった。

しかしこのマシンは違った、実際僕ごときにはフレームがしなやかかどうかは断言出来ないが結果として手首に疲れが残らなかったのは事実だ。
サスペンションも含めたフレームのバランスが凄く良くて結果的に疲れないのか?あるいはフレームの材質に物凄いノウハウがあるのか?・・・・・と思っている。
もっとも思っているうちが一番楽しいのであまり言及はしない。

このフレームの素晴らしかった所はカッチリした感じのフレームを通じて、前後サスの動きは手に取れるようにわかる摩訶不思議な感覚だった事も合わせて記しておく。
これは個人的に思っているのだが、サスとフレームの方向性がますます自転車に向かっているような気がする。
極端な話、ダウンヒルバイクのRN01と合体するともっといいマシンが出来るかも?!

◆やはり素晴らしいフジガス号
普段は触ることすら許されないワークスマシン、今回は15分間と言う短い時間だったがスタミナの落ちている僕には充分な時間だった。
こういった企業秘密の塊であるワークスマシンを公開し、乗せて頂ける機会を作るホンダの太っ腹な対応は評価に値する。
これもまたホンダらしい自信の表れだと思う。

試乗中にダニエルにチャレンジしたが出来なかった(当然だ)、試乗が終わってから来シーズンのワークスマシン試乗会までには「どこでもダニエルスイッチ」を装備しておいて下さいとHRCスタッフにお願いしておいたのはナイショだ。
でも不可能を可能にするのがホンダ流なので、本当にそんな時代が来るかもしれない

◆考えさせられたライディングテクニック
今回の取材陣を対象に、午前中・午後と二回に渡りトライアルにふれあうレベルのミニスクールが開催された。
ジャーナリストと言えども以外とトライアルに触れあう機会が少なくビギナーレベルの方々が多いのだ。
その一方ジッタや藤秀などびしっと乗れる方がいたりとレベルは極端。
マシンは市販のRTL260Fとコンディ100が選べるが僕は迷わずRTL260Fをチョイス。
午前中は藤波選手が先生で生徒は僕を含めて4人位、午後は小川選手が先生で生徒は僕とストレートオン編集部の泥さんと二人。
泥さんと一緒にトライアルマシンに乗るなんて20年ぶり位かも、トロピカルカップが懐かしいな。
攻略に手間取ったダム型大岩ステアケースがあるのだが、その攻略方法を午後のレッスンで小川選手に教えて頂いた。
そのダム型の大岩の大きさだが、軽トラックのアクティを正面から登ると考えてくれればいい。
しかもアプローチは下りで岩の一番下がえぐれている。
確実に後輪を上に浮かせて岩の上に乗せてやらないと絶対に登れない。
僕の方法は普通の二度吹かし、すぐ抜重しつつそのまま上に伸び上がってボディアクションでヒザをすくめながら車体を上に持ち上げて岩の上に後輪を乗せる。
しかしリヤサスが伸びきるのでその後のグリップの回復が難しく、連続するターンにライディングが上手く結びつかない。
ここで攻略の方法として、小川選手にニュー二度吹かしのレクチャーを受ける。

目からウロコ・・・・・
詳細は書ききれないのだけどこりゃすごい、まさにRTLと言うマシンの特性を生かした乗り方。
以前から色々な媒体でお見かけする小川選手のフォームに疑問があったが、今回その疑問が全て解けた。
やはり情報は本人に聞くのが一番早いし正確だ。
しかもそのテクニックを習得する為の危険の少ない練習方法もレクチャーしてくれた。
う~ん・・これは本気でトライアルマシンが欲しくなって来たぞ。

写真提供:週刊二輪車新聞社(二次使用はご遠慮下さい)

Special Thanks(敬称略)
二輪車新聞社
HRC
本田技研工業 広報部